こんにちは、紅サンタです!
防火管理者になると「消防計画を作って、消防署へ届出ることが最初の仕事です。」と、誰からから言われることがあります。ですが…

書き方がよくわからない…

作成例を見ても、何が書いてあるのかわからない…
防火管理者の業務の中で「最初の仕事」と言われながらも、数ある業務の中で「一番難しい」のが、この消防計画の作成です。
「最初の仕事」が「一番難しい」業務では、ちょっとハードルが高すぎて、嫌になります。
なので、こう考えてください。

業務と並行して、消防計画の暫定版を作るのが初期段階の仕事!
消防計画に限った話ではありませんが、ものを作るのに、初めから完璧なものはそう簡単にはできません。
基礎は抑えつつ暫定版の消防計画を作成して、防火管理業務を行いながら、実情に応じてカスタマイズするのが、現実的な作り方です。
この記事では、初めて消防計画を作る防火管理者向けに、消防計画の作成手順、基礎構成等について解説します。
消防計画とは?
そもそも消防計画とは何なのか?
「火災予防、災害被害軽減の目的実現のため、ルール、方法等を定めたもの」
防火管理=建物・事業所の健康維持とするならば、健康維持をするためにどうするかの計画ですね。
自身の建物・事業所の 防火管理業務マニュアル とイメージしても概ね間違いありません。
要するに、「実際にどうやって防火管理を行うのか」読めば大体わかるものです。
作成根拠
消防計画は、防火管理者が作成するものである根拠となる法令はありますが、「法令的な根拠があって作成しているものなんだ」程度の認識があれば、問題ありません。
第一項 防火管理者は、総務省令で定めるところにより、当該防火対象物についての防火管理に係る消防計画を作成し、所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。
内容根拠
作成根拠と同じく、消防計画に定める内容にも根拠があります。
消防計画に定める内容は、下図のとおり2階建ての建物のイメージです。

主なものは、防火管理業務の基礎となる消防法施行規則第三条により定めるもの。
さらに、地域等によって関係法令(関係する法律、都道府県や市区町村等が定める条例)により、消防計画に定めるもの(主に火災以外の地震、風水害等の災害に対する対策)もあります。
なお、この記事では、消防法施行規則第三条により定めるものに関してのみ解説し、関係法令により、消防計画に定めるものは省きます。
関係法令により、消防計画に定めるものを省く理由は、その内容が防火管理業務の基礎の上に立つ、プラスアルファ的な業務だからです。
「消防計画に定めなくても良い」というものではありませんが、まずは基礎的な業務について理解し、後から+αを追加したほうが、理解しやすいはずです。
消防計画の作成手順
実際にどの様な手順で作成すれば良いのかを、4つのSTEPで考えたいと思います。
ここからは、下図の建物でどういう考え方をすれば良いのかの≪例示≫も合せて記述します。

【STEP1】状況(管理権原の範囲、人員、建物状況)を把握する
まずは計画を作る準備として、自身の建物・事業所において、どこまでが管理する範囲か、管理するために使える人員状況、建物に設置されている施設・設備等の状況を確認しましょう。
例えるなら、防火管理における自身の守備範囲、使える人手、道具の確認です。
管理権限の範囲
自身の管理する範囲(賃貸借契約等の契約で貸している部分、借りている部分等)が、どの部分までなのか、確認してください。
人員状況
自身の管理する範囲において、どの様な人員が、どこに居るのかを確認してください。
勤務形態や時間帯による変化することがあるので、注意しましょう。
建物状況
建物にどのような施設・設備等があるのか、それがどこにあるのか確認してください。
どの様な施設・設備等が設置されているのか不明な場合は、建物所有者や管理会社等に問い合わせてみましょう。
≪例示≫クリックすれば閉じます

権原者 | 管理権原範囲 | 人員 | 建物状況 |
---|---|---|---|
トナカイ | 建物共用部分 (共用施設、消防用設備等) | 0人 (常駐なし) | 主要避難施設:屋内階段 防火戸:各階テナント出入口 自火報:受信機1階階段出入口 消火器:各階階段部分1本 各テナント部分1本 誘導灯:避難経路 避難器具:2、3階バルコニー設置 |
イヌ | 賃貸借部分(2階飲食店) | 営業時間中 3人 | |
パンダ | 賃貸借部分(1階物品販売店) | 日中4人 夜間2人 |
【STEP2】消防計画の基本構成、読み方を知る
消防計画を作る際、ほとんどの場合、ゼロ(白紙)から作るわけではありません。
多くの消防機関が、消防計画の「作成例」や「ひな形」をWEBで公開しており、ダウンロードして、作成時に活用できます。
また、前任の防火管理者がいた場合は、前任者の消防計画を参考にできます。
大きな企業だと多店舗展開している関係で、専用の消防計画の「ひな形」があることもあるようです。
では、実際に作成例等を使用して、消防計画を作ろうとすると…
「自衛消防隊を、別表3のとおり編成し、活動要領は別記1のとおり」だとか…
「避難経路図は別図のとおり」の様な文章が長々と続き、最後によくわかない表、図等がある思います。
初めてこれを見ると…

何が書いてあるのかわからない…
作る気がなくなる…
こうなってしまうのは、消防計画の「構成」と「読み方」を知らないことが多くの原因です。
なので、最初は「基本構成」と「読み方」を理解しましょう。
基本構成
多くの消防計画の作成例は、消防計画「本文」と「別表、別図、別記」等の「別〇」の2つの分類の書類が並んでいます
「本文」はほぼ文章。
文章では表しづらい表や図、「本文」に入れると長ったらしい文章を分けているのが「別表、別図、別記」等の「別〇」です。
つまりは…
「本文」は消防計画の主となる文書で、「別〇」は「本文」を補完する書類。

「本文」だけ読むと解りづらいけど、「別〇」を合わせて読むと解りやすくなるイメージです。
「本文」以外は、ページの左上に「別〇」と書いてあって、同種類の「別〇」あると「別〇1」「別〇2」「別〇3」と数字が付きます。(例:別表1、別表2、別表3、別図、別記1、別記2)
読み方
消防計画が「何が書いてあるかわからない!」となる人は、大体の場合、本を読む様に、消防計画を並んでいる順番に読んでいます。
つまり、不足部分のある消防計画「本文」を長々と見て、補完するはずの「別表、別図、別記」を後から見る。
「別〇」を見る時にには、「本文」の内容は忘れていて、意味がわかないという状態です。
そうならない為にも、「本文」で「別〇」が出てきた時には、その場で「別〇」を確認する必要があります。
つまり理解しやすく、読みやすい読み方として…
「本文」と「別〇」を分割して読むことをお勧めします。
1冊の雑誌を本誌(本文)と付録(別〇)に分けるイメージですね。

「本文」を読みながら対応する「別〇」を見ると、その項目が何を示しているのかが分かりやすくなります。
紙媒体でも分割にくい場合は、付箋やインデックスシールを使って、「別〇」をすぐに開ける様にしておくと便利です。
パソコンの場合は、画面分割機能(2窓)を使って「本文」と「別〇」を表示すると、読みやすいですし、作成しやすくなります。
【STEP3】消防計画に定める内容を知り、作成する
消防計画の「作成例」や「ひな形」は、皆が使用しても大きな問題がでないように、内容が画一的で、自身の建物・事業所の実態と、内容が乖離していることが多くあります。
なので、一つの目安として「作成例」や「ひな形」を使用し、自身の建物・事業所の実態に合わせて、必ず添削するようにしましょう。
添削が必要な≪例示≫ クリックすれば開きます。
トナカイは常駐している人員がいない(0人)のため、自衛消防の組織(自衛消防隊)が編制しても実効的でなく、共用階段等の管理権原のある部分で火災が起きても、ほぼ対応できない。
= 消防計画の「作成例」や「ひな形」が当て嵌まらない部分が発生。
⇒ テナントの管理権限者(イヌ、パンダ)と協議し、災害時の対応をしてもらう等の、別対策を講じて、実態に合わせる必要がある。

前任者の防火管理者が作成した消防計画を参考にする場合も、同様で、内容が古い情報の場合があるので、添削する必要があります。
ですが、消防計画の内容を添削するには、その内容を理解していないければ、添削は難しいです。
消防計画は基本的に防火管理業務マニュアルなので、行う防火管理業務について理解していれば、7割は添削できます。
ですが、「計画書」は、行う業務以外にも、具体的にどう行うかの方策等が記載されているため、そのことについての理解も必要になります。
消防計画に定める内容は4種類に分類されます。
「作成例」によって、この分類通りに項目が並んでいないものもありますが、この4種類のどれかに該当はしているはずです。
総則
消防計画を形作るため前提、消防計画全体に適用されるルールとなるものです。
基本的な項目は下記のとおり。
目的
当たり前ですが、「この文書が消防計画です」ということ表すため、この計画の目的を記載します。
「この計画は、火災予防及び災害被害軽減を図ることの目的としたもの」的な内容が書いてあれば大丈夫です。
適用範囲
この計画が適用される管理権原範囲を記載します。上記の目的と纏めている「作成例」も多いです。
内容は「この計画は、○○に勤務等する者に適用する。」○○部分に店舗名等を入れます。
≪例示≫クリックすれば閉じます
トナカイ:「この計画は、○○ビル共用部分を管理する者又は出入り者等に適用する。」
イヌ:「この計画は、○○飯店に勤務する者、又は出入り者等に適用する。」
防火管理業務の一部委託(委託がある場合のみ)
防火管理業務の一部を第三者に委託する場合、下の事項について記載します。大体の「作成例」であれば、消防計画の本文でなく、別表に詳しく記載することが多いです。
- 受託者氏名(名称)
- 受託者住所
- 委託する業務の範囲及び方法
≪例示≫クリックすれば閉じます
トナカイは本建物から遠隔地に居住しているため、予防管理のための自主検査を行う事が困難。
⇒ 建物管理会社に自主検査を行う事を委託
受託者詳細 | 委託業務内容 | ||
---|---|---|---|
名称 | ○○管理会社 | 方式 | 巡回方式 |
住所 | ○○県○○市○○町○○ー〇 | 業務範囲 | 出火防止、避難施設、防火構造、設備 等の自主検査 |
電話番号 | 000-0000-0000 | 巡回回数 | 月〇回 |
消防機関への連絡
防火管理業務において、消防機関へ届出等を行うものを記載します。
殆どは「作成例」に初めから記載されているとおりで問題ありません。
≪例示≫クリックすれば閉じます
主に定めるもの | |
種別 | 届出等の時期 |
防火防災管理者選任(解任)届出 | 防火管理者が変更された時 |
消防計画作成(変更)届出 | 消防計画を変更した時 管理権原者又は防火管理者が変更された時 |
自衛消防訓練実施の事前通報 | 自衛消防訓練を実施する前 ※特定用途の建物のみ |
消防用設備等点検結果報告 | 1年に1回(特定用途の建物) 又は3年に1回(非特定用途の建物) |
建物及び諸設備の設置又は変更の事前相談+法令に基づく諸手続き | |
その他法令に基づく報告等の防火管理関する必要な事項(例:防火対象物点検報告等) |
台帳作成・保管
防火管理業務上の必要な書類(消防機関への連絡届出副本、設備の整備記録、自主検査記録、自衛消防訓練記録等)は、実際に防火管理を行った証明に成り得るものであることから、保管しておくことを記載します。
また、消防機関の検査等で閲覧を求められる場合もあるので、後から見やすい様に種類別に保管しておきましょう。
予防管理
防火管理業務解説の記事で紹介した予防管理(火災予防又は災害被害軽減のための管理)を実際にどうするのかを、具体的な方策を消防計画に記載します。
遵守事項
従業員等の消防計画が適用される範囲の人に対して、予防管理上守らせるルールを記載します。
「作成例」の遵守事項でほぼ問題ないはずですが、自身の状況に合わせて添削しましょう。
≪例示≫クリックすれば閉じます
予防管理上の順守事項(主に定めるもの) | |
---|---|
火気管理 | 喫煙は指定された場所で行い、確実に吸殻を処理する |
火気使用設備・器具は使用前後に点検を行い、安全を確認する また、周囲を常に整理整頓し、可燃物を近づけない | |
危険物品は持ち込まない | |
放火防止対策 | 建物内外に可燃物を放置しない |
倉庫等は施錠管理する | |
施設構造管理 | 避難口、廊下、階段等の避難経路に物品を置かない また、置かれていた場合は、それを除去する |
避難経路の戸等は容易に開放できるように維持する |
自主検査組織(小規模の事業所等は必要に応じて編制)
組織的に予防管理状態を維持管理するため、担当区域ごと(各部署ごと、階層ごと、エリアごと等)に責任者を定め、管理体制を記載します。
小規模な事業所等で、防火管理者のみで管理監督できる場合は、必ずしも編制しなければならないものではありません。
≪例示≫クリックすれば閉じます
予防管理上の自主検査及び管理は、下図の範囲区分を、下表の火元責任者が実施する。

担当区域 | 火元責任者 |
---|---|
厨房部分(エリア1) | 担当者:キッチンリーダー |
客席部分等(エリア2) | 担当者:ホールリーダー |
自主検査(チェック)
自主検査組織の責任者に自己の担当区域で、予防管理が適切に行われているか、時期(業務終了前後等)を定めてチェックを行わせることを、記載します。
検査表等でチェック箇所を事前に定めて行わせると、検査表が検査記録として保管できます。
≪例示≫クリックすれば閉じます
予防管理上の自主検査は、火元責任者が下表に基づき、業務終了前に実施する。

法定点検
消防法で定められた点検は3種類あり、必要に応じて点検を行うことを記載します。
基本的には、専門資格を持った業者に依頼し、点検します。
点検種類 | 点検実施者 | 点検対象 |
消防用設備等点検 | 主に建物所有者 | 法令により設置されている消防用設備 (消火器、誘導灯、自動火災報知設備等) |
防火対象物点検 | 管理権限者 | 防火管理業務実施状況 |
防災管理点検 | 管理権限者 | 防災管理業務実施状況 |
ここではほぼすべての建物で必要となる消防用設備等点検のみ紹介。
消防用設備等点検
建物には消防用設備(消火器、誘導灯等)が法令に基づき設置されています。せっかく設置されていても、点検を怠り、災害時に使えないのでは意味がないため、点検を行います。
消防用設備等は、建物の共用設備であることが多く、主に建物所有者が点検を行います。
テナント入居時に新たに設置した消防用設備等は、点検をテナント側で行う賃貸借契約になっている場合もあるので確認しましょう。
報告、改修
自主検査、法定点検の結果、確認した不備欠陥箇所は、管理権原者に報告し、計画的な改修を図ることを記載します。
収容人員管理
建物や事業所内に過剰に人がいる場合、災害時には混乱や事故を誘発してしまいます。想定した施設利用人数が超えないように管理することを記載します。
工事中の安全対策
工事に伴い設備や通常の避難経路が使えない場合や、工事の為の火気器具、危険物品を持ち込む等、その時々の臨時の安全対策と工事人の順守させることを定めることを記載します。
自衛消防
防火管理業務解説の記事で紹介した自衛消防(災害が起きた時にどう自分達を守るか)を実際にどうするのかを、具体的な方策を消防計画に記載します。
自衛消防の組織(自衛消防隊)
災害時に組織的に行動できるように役割を定め、俗に「自衛消防隊」と呼ばれるチームを編成し、記載します。
なお、人員の少ない事業所は、各役割を兼任することもあります。
≪例示≫クリックすれば閉じます
下のとおり○○販売店の自衛消防隊を編成し、災害時に活動する。
自衛消防隊長:防火管理者○○(不在時の代行者A)
通報連絡班:スタッフA
初期消火班:スタッフB
避難誘導班:スタッフC、D
自衛消防活動内容
自衛消防の組織(自衛消防隊)の班(役割)の活動内容を記載します。
≪例示≫クリックすれば閉じます
自衛消防隊の各任務にあっては、下表のとおり。
班 | 活動内容 |
---|---|
自衛消防隊長 | ・各班の指揮統制 |
通報連絡班 | ・119番通報を行う ・各班の活動状況を取りまとめ、隊長へ報告し、補佐する |
初期消火班 | ・消火設備等を活用し、避難できる状態で初期消火を行う |
避難誘導班 | ・避難口を開放し、避難経路図に従い避難誘導を行う ・避難口、角等に誘導員を配置する ・大声で簡潔に避難誘導し、パニックを防止する |
共通事項 | ・火災発見者は、非常ベル等又は大声で火災の発生を知らせる ・活動内容は適宜隊長へ報告する |
避難経路図
消防用設備等の設置状況及び避難経路を周知するため、避難経路図を作成し、添付します。
建物利用者への周知のため、掲出することが望ましいです。
≪例示≫クリックすれば閉じます
消防用設備等の設置位置、避難経路は下図のとおり。

教育訓練
防火管理業務解説の記事で紹介した教育訓練(予防管理、自衛消防の実現方法)を実際にどうするのかを、具体的な方策を消防計画に記載します。
防火防災教育
消防計画の内容を、建物・事業所の皆が共通認識として持っていない事には、組織的に防火管理を行う事はできません。
時期を定めて、定期的に遵守事項や、各従業員の任務等について教育・再確認を行うことを記載します。
≪例示≫クリックすれば閉じます
防火管理者は、従業員に対して、下表のとおり教育を行う。
時期 | 教育内容 |
採用時 | 1 消防計画内容 2 予防管理上の遵守事項、任務 3 災害時の任務、対応 4 その他防火管理上必要な事項 |
〇月・〇月 | |
必要に応じミーティング時 |
自衛消防訓練
災害時の異常な環境下でも、適切な行動が取れるよう消防用設備の取扱いや、行動要領を学び、組織的に行動できるように訓練を行うことを記載します。
また、訓練後は訓練内容について、皆で検討して「訓練実施結果記録書」を作成。以後の訓練や消防計画の見直しに活用します。
≪例示≫クリックすれば閉じます
防火管理者は、下表のとおり訓練を行い、訓練後には検討会を開き「訓練実施結果記録書」作成する。
訓練種別 | 訓練内容 | 実施時期 |
総合訓練 | 災害発生から、消防隊到着までの一連の訓練 | 〇月頃 |
部分訓練 | 消火・通報、避難誘導等を個別に行う訓練 | 〇、〇月頃 |
【STEP4】管理権限者へ計画内容を報告し、消防機関へ届出る
消防計画の作成は、防火管理者の責務ですが、防火管理業務の最終責任者は管理権限者(建物所有者・事業主)です。
そのため、作成した消防計画に内容は、建物所有者・事業主へ報告しましょう。
管理権限者へ報告して問題提起がなければ、消防機関(消防署)へ「うちの消防計画はこんな感じです」という書類を届出ましょう。
第一項 防火管理者は、総務省令で定めるところにより、当該防火対象物についての防火管理に係る消防計画を作成し、所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。
届出先は、建物の住所を管轄している消防機関(消防署等)です。検索エンジンで「○○県○○市○○町 管轄 消防」とでも検索すれば、届出先は大体調べられます。
届出方法は、各消防機関によって対応しているものが変わりますが、窓口、郵送、オンラインが一般的です。
初めての届出は、書類に不備があることが多いので、届出時にその場で訂正が可能な窓口をお勧めします。
窓口 | 郵送 | オンライン | |
メリット | ・届出時に不備があっても、その場で訂正可能な場合が多い | ・時間、場所に縛られない | ・時間、場所に縛られない ・副本が必要ない |
デメリット | ・交通費 ・対応時間が平日の日中のみ | ・郵送費 ・書類に不備があると再送が必要 | ・不慣れなシステムで書類に不備が生まれやすい |
必要とされている書類は2つです。
1:消防計画作成(変更)届出書
2:作成した消防計画
1の届出書の様式は、各消防機関のホームページからダウンロードできます。
2は作成した自身の建物・事業所の消防計画になります。
まとめ
各建物・事業所の状況はそれぞれ違うことから、消防計画は千差万別です。
消防計画の内容は「これが正解」と言うものはないですが、一つ確実なのは「実効性の高い計画でなければ、意味がない」と言うことです。
実効性がなければ、せっかく作っても「誰も見ないただの紙」になってしまいます。
解説した基礎内容を押さえながら、徐々に内容を整えて、実効性のあるオリジナル消防計画を作成しましょう。
さて、記事が長くなったため、最後にこの記事の内容の要点のみおさらいします。
防火管理者が作成する
「火災予防、災害被害軽減の目的実現のため、ルール、方法等を定めたもの」
消防計画に定める内容は、下図のとおり2階建ての建物のイメージ

【STEP1】状況(管理権原の範囲、人員、建物状況)を把握する
【STEP2】消防計画の基本構成、読み方を知る
【STEP3】消防計画に定める内容を知り、作成する
【STEP4】管理権限者へ計画内容を報告し、消防機関へ届出る
消防計画を作成するための、前提条件を調べる
・管理権原の範囲(どの部分を貸している又は借りているのか)
・人員状況(どのような人員が、どこで何人いるのか)
・建物状況(どんな施設、設備があるのか)
消防計画は「本文(主となる文書)」と「別〇(本文を補完するもの)」の2つの分類の書類が並んでいる。

読むときは、「本文」と「別〇」を分割して読む

消防計画の「作成例」や「ひな形」は、内容が画一的で、自身の建物・事業所の実態と乖離していることが多いため、一つの目安として「作成例」や「ひな形」を使用し、自身の建物・事業所の実態に合わせて、必ず添削する。
消防計画に定める内容は、大きく4種類。
中分類 | 小分類 | 記載内容 |
---|---|---|
総記 | 目的 | 火災予防及び災害被害軽減を目的したもの消防計画であること |
適用範囲 | 計画の適用範囲(管理権原) | |
業務一部委託 | 委託先及び委託業務詳細 | |
消防機関への連絡 | 防火管理業務上の消防機関への届出等 | |
台帳作成・保管 | 防火管理業務上の必要書類を保管 | |
予防管理 | 遵守事項 | 予防管理(火気管理、放火防止、施設構造管理)のためのルール |
自主検査組織 | 予防管理のための管理体制 | |
自主検査 | 担当区域のチェック実施 | |
法定点検 | 法定点検(消防用設備等)の実施 | |
報告、改修 | 管理権原者への報告 設備等の維持管理 | |
収容人員の適正管理 | 過剰な入場を制限 | |
工事中の安全対策 | 工事障害等に対する臨時の安全体制確立 | |
自衛消防 | 自衛消防の組織編制 | 災害時の活動体制 |
自衛消防活動内容 | 災害時の任務 | |
避難経路図 | 避難経路明確化及び案内 | |
教育訓練 | 防火防災教育 | 皆で予防管理を行うための教育 |
自衛消防訓練 | 災害時に適切な行動をとるための反復訓練 |
防火管理業務の最終責任者(建物所有者・事業主等)へ作成した消防計画に内容を報告後、建物の管轄消防署等に下の2つを届出(窓口、郵送、オンライン)
1:消防計画作成(変更)届出書 ⇒ 各消防機関HPからDL可能
2:作成した消防計画 ⇒ 自身の建物・事業所の作成した消防計画
繰り返しになりますが、防火管理者は「業務と並行して、消防計画の暫定版を作るのが初期段階の仕事」になります。
上手くいかないところは検討し、修正することで、強固な防火管理の基礎としての、消防計画が出来上がります。
初めて作る消防計画は、たたき台ぐらいの感覚で作成し、実際に計画通りやってみましょう!
まずやってみることが、何よりの近道です!
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