
はじめまして。紅サンタと申します。
このサイトでは、消防法に基づく「防火管理」について、出来るだけ専門用語を使わずにわかりやすく、丁寧に、知識ゼロからでもできる様に解説します。
こんな人達に見てほしい!

防火管理者が必要らしいけど、なにもわからない。

防火管理者になったけど、何をすれば良いのかよくわからない。

自衛消防訓練って何すれば良いの?
数年前、消防法に基づく防火管理に関わることになった時、私も同じ様に分からないことだらけでした。
今は防火管理の基本的な事は理解したので、皆さんに伝えたい事が2つあります。

とりあえず、やれる事からやってみましょ!
すべてを完璧にやろうとすると、決めなきゃいけない事とやらなきゃいけない事が多すぎるので、挫折して放置されるか、実行性の無い計画が完成します。
それでは時間の浪費だし、意味がありません!
やらなきゃいけないことと、周囲の状況でできる事をトライアンドエラーで調整していくのが、実行的な防火管理の近道だと、私は思います。

それと、基本的に1人だけでやることじゃないよ!
結局のところ1人でやれることは、そんなに多くありません。
後に出てくる、防火管理者という推進責任者的な役割はあるものの、その防火管理者がすべての業務を行うのは不可能です。
防火管理者を中心として、皆で組織的に防火管理業務を行うためにはどうすべきかを考えましょう!
私自身、防火管理業務をまだまだ精進中ではあるものの、失敗しながら学んできた事を、皆さんと共有し、役に立てれば嬉しいです。
それでは、最初から順序立てて解説します!
【STEP1】「防火管理」とは?

漢字の単語で聞き馴染みのない言葉であって、これだけ聞くと何をすれば良いのか良く分からず、いきなりここで躓きます。
そんな方のために、防火管理の意義について、解説します。
もう理解している方は、この項目は読み飛ばしてOKです。
別に理解していなくとも、やらなければいけないことを知りたい方も【SETP2】に飛んで行っても、問題ないです。
理解しておくと根本的な問題がどこにあるかを考えられるようになるので、気になる方は読んでみてください。
結局、何をすることなの?
そもそも「防火管理」という言葉は、消防法の中で出てくる言葉ですが、ここで小難しい法の解説をする気はありません。イメージだけつかめればOKです!
結論から記載します。
「防火管理」=建物・事業所の「健康維持」
こうイメージしていただければ、概ね間違いありません。
皆さんは、身体の「健康」のために何かしていますか?
人は不摂生な生活習慣を長期的に続ければ、いずれ深刻な病気になります。そうならないために、栄養バランスの取れた食事や、適度な運動、十分な睡眠等をとり、健康を維持します。
建物・事業所も同じで、火気を不適切に使用したり、設備の維持管理を怠る等していると、いずれ火災等の災害時に自分の資産(不動産、動産、人的資産等)に大きな被害をもたらことから、適切な「防火管理」による安全対策を講じるわけです。
イメージは、下のイラストです。

防火管理は、この火災までの時間を極限までの伸ばす、又は火災等の災害が起きたとしても被害を最小限に減らして、運営に支障がない範囲に留めることを目的としています。
本当にしなくちゃいけないことなの?

理屈は分かったけど、手間だし、難しそうでやりたくない…
理屈は分かってもやりたくないこと…いっぱいありますよね。実際、私も積極的にやりたいものではありません。
それも当たり前で、防火管理業務をしても、人に感謝されることはあまりありませんし、分かりやすい利益も生まれません。
端的に言って、得がない。
そもそも、不規則な生活を送ろうが、寝不足だろうが、長生きする人もいるのと同じように、防火管理を意識していなくとも特に問題なく、運営している建物・事業所はたくさんあります。
それを見たら、やっているのが馬鹿らしくなるのは当たり前。
でも、ちょっと待ってください…

知らず知らずに、リスク(危険)を抱え込んでいませんか?
短期的に考えれば、防火管理をしなくても支障がないことが多いです。
ただし、長期的に考えると、どこかで被害が発生する確率が高くなります。
下のデータは、総務省消防庁の火災に関する統計データです。
令和5年中日本国内の
- 出火件数3万8,672件
- 火災による死者数1,503人
- 火災による損害額約942億円
- 出火件数3万8,672件を1日当たりでみると、106件の火災が発生
- 出火率(人口1万人当たりの出火件数)は、全国平均で3.1件/万人
- 1日当たりの火災による死者数は4.1人
出典:「令和6年度版消防白書」(総務省消防庁)を加工して作成
被害の大小に関わらない火災件数ではありますが、火災は意外と身近なものであることが示されています。
さらに、歴史を遡ると、防火管理を怠って大きな被害が発生した火災は後を絶ちません。
つまりは…
「防火管理」=建物・事業所の「健康維持」=「リスク管理」
大きな被害を避けるため、リスク管理をするのであれば、すべての建物・事業所において、防火管理を行うことが必要性はありそうです。
消防法で防火管理業務の管理監督者(防火管理者)の設置が義務づけられているもの
ある一定規模の建物等になると、消防法により、防火管理者と呼ばれる推進責任者を選任して、定められた方法で防火管理を行うことが義務付けられます。
【STEP2】では、消防法に定められた防火管理の方法について解説します。
【STEP2】「防火管理」の内容

さて、意義や必要性が理解してくると、今度は何をすれば良いの?ってなりますよね。
防火管理業務は、大きく分けて3つ分類されます。
詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。⇓
【STEP3】計画を立てる

防火管理がどんなものか分かったところで、次に自分の建物・事業所でどのよう行えば良いかを考え、具体的な計画を立てます。
これは消防法の中で防火管理者の作成する「消防計画」となります。
そして、ここで重要なのは・・・

最初に作った計画にこだわらないこと!
次の【STEP5】で解説しますが、立てた計画は高確率で修正の必要が出てきます。
最初に立てる計画は叩き台ぐらいの感覚で作るのが吉です。
権限・建物・人を把握する
まずは自身が使えるものを確認しましょう。守備範囲、使える道具、人手の把握です。
権限の範囲
建物の自身の管理する範囲がどこまででなのか、確認します。
建物状況
建物にどのような設備が設置されているのか、それがどこにあるのか確認します。
人員
自身の管理する範囲において、どの様な人員が、どこに居るのかを確認します。
この際、勤務形態や時間帯による変化することがあるので、注意しましょう。
いつ、誰が、何をするのか
自身の状況を把握したら、今度は【STEP2】の内容を、実際にどの様に行うのか具体的な手法を決めます。
主に定める事項は下記の事項です。
各員が守るべき事項
厨房設備の点検清掃(火気の使用又は取扱い)、廊下階段に物を放置しない(放火防止対策、避難施設管理)等、防火管理上守るべきルールを定めましょう。
自主検査組織
終業時等の時期を決めて、誰が何を確認するのか定めましょう。
自衛消防の組織
災害時に主に誰が何をするのかを定めましょう。
自衛消防訓練
どのような時期に、どんな訓練をするのか定めましょう。
各種点検
消防用設備等の点検を誰がどのような時期行うのか定めましょう。
各種届出
消防機関に対して、どの様な届出をどの時期に届け出るのか定めましょう。
【STEP4】実践

計画を定めたら、いざ実践です。
防火防災教育
計画で定めた内容のなかで、主に下のリストについて、従業員に定期的に周知しましょう。
- 権限の範囲
- 建物状況
- 各員が守るべき事項
- 自主検査組織
- 自衛消防の組織
自主検査
権限の及ぶ範囲において、火災予防、施設・構造の維持管理のチェックを 自主検査組織により、皆で行いましょう。
消防用設備等の点検、整備
計画に定めた点検を行います。
基本的に必要資格を持つ、業者に依頼して行うことになります。
自衛消防訓練
災害時の異常な環境下においても、適切な行動ができる様に、訓練をおこないます。
【STEP5】検討のち修正

実際に計画を実践すると、計画通りにいかない事が多々あります。
その「上手いかなかったこと」は、そのままにせず「どうすれば良いか」を検討し、計画を変更しましょう。
さらに実践し、検討して…【STEP3】~【STEP5】を繰り返し、最終的に現状に則した防火管理が完成します。
【EXTRA】防火管理関連制度を網羅する
防火管理に紐づいた関連制度解説については、順次追加予定です。
- 防災管理
- 防火防災管理再講習
- 統括防火防災管理
- 自衛消防組織
- 防災センター要員
- 条例により消防計画に定める項目
- 自衛消防中核要員(東京都条例)
- 防火管理技能者(東京都条例)